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読解力は「相手を理解する力」〜当院が大切にする、人と深く向き合うための基礎力〜

更新日:6月28日

どうも。

作業療法士と鍼灸師のダブルライセンス、うれしや鍼灸院吉祥寺の池田です。


いつも当院のブログをお読みいただきありがとうございます。


今回は、皆さんが普段あまり意識しないかもしれないけれど、実は私たちの日常生活や、ひいては人との関わりにおいて非常に重要な役割を果たす読解力についてお話ししたいと思います。


一般的に読解力とは、

「書かれたことを正確に読む能力」

「知識や情報を伝える文章を正確に読み解く力」

とされています。


もちろんそれも間違いではありませんが、当院ではもう一歩踏み込んで、相手を理解するために必要な力だと考えています。


今回は、

  • 私が自分自身の読解力と向き合うことになった経緯

  • 読解力を獲得しようと試行錯誤した結果が思わぬところと繋がったこと

  • そこから得た医療従事者としての「相手を理解するために必要な力」

について、お話したいと思います。



◇私が経験した「読解力の壁」


実は2020年の春、私自身の読解力のなさに愕然とする出来事がありました。

ある著者の本を読んだ際、私自身が文章を読んでいないことを思い知らされました。


それは



この本に出されていた課題を正解できず、自分の読解力のなさに打ちのめされたのです。



☆詳しくはこちら↓↓↓

https://ameblo.jp/reha1189/entry-12590117404.html (ブログでは語りきれなかった裏話や、ちょっとしたこぼれ話はアメブロで公開しています。ぜひ覗いてみてください!)



そこから、私の「読解力向上プロジェクト」が始まりました

(当時は、こんなにChatGPTに代表されるAIが進化するとは思っていなかったので、単純に「AIに負けたくないなあ」と思ったくらいでしたが)


まずは「読書量を増やせば読解力がつくはず」と、とにかく本を読み漁る日々。


しかし、それだけではなかなか思うような効果は得られませんでした。


さらに、数々の読書術を参考にして試行錯誤の日々。



☆詳しくはコチラ↓↓↓

(ブログでは語りきれなかった裏話や、ちょっとしたこぼれ話はアメブロで公開しています。ぜひ覗いてみてください!)



そんな風に過ごしていたら

シン読解力
シン読解力

が刊行されました。

読み進めるうちに「読解力に必要なスキルって何だろう?」という疑問が湧き、一旦本書からはなれました。


そして認知心理学の

読めば分かるは当たり前? ――読解力の認知心理学
読めば分かるは当たり前? ――読解力の認知心理学



(なお「14歳から?」と思う方もいるかもしれませんが、私にはこのレベルがぴったりでした。)


そこで、読解には語彙の量と、文章の種類に応じた読み方の方略(戦略)が重要と気づきました。


物語と説明文では、読み方が全く異なる=方略が違うのです。

(社会生活では圧倒的に説明文が多いですよね)


これは目から鱗が落ちることになりました。



◇小学生レベルから学び直して見えた「真実」


さて、話が前後しますが。


医療従事者は一生勉強する覚悟が要ると私は考えております。


なので、私はことあるごとに臨床現場に関する書籍や論文を読んでいます。

しかし、レベルを上げようとする過程で「なぜ理解できないのだろう?」と悩む日々が続きました。


そこで、自分の理解度がどのくらいなのかと徐々にレベルを下げていった結果、驚くことに国語と算数、まさかの小学生レベルからやり直すことになったのです



☆詳しくはコチラ↓↓↓

https://ameblo.jp/reha1189/entry-12855636321.html (ブログでは語りきれなかった裏話や、ちょっとしたこぼれ話はアメブロで公開しています。ぜひ覗いてみてください!)



最初は戸惑いましたが、今となっては、この決断が本当に良かったと心から実感しています。

基礎基本をやり直したことで、私が難しいことを理解できなかった理由が明確になりました。


それは、「難しいことを理解できる知識(語彙)と、脳のワーキングメモリが不足していたこと」です


『シン読解力』にも書かれているのですが、小学生3年生レベルで1万語以上の生活語彙を獲得していないと、学習用語が理解できないという事実があります。


つまり、学校の教科書が理解できない状態に陥ってしまうのです。


この影響が顕著になるのは高校生レベルです。

中学生くらいまでは、これまでの経験と生活語彙でなんとなくやり過ごせるのですが、高校生になるとより抽象的な内容が増えるため、太刀打ちできなくなります。


これには、妙に納得しました。


私も中学時代は何となくできていたのですが(数学は壊滅状態でしたが)、高校生レベルになると全く歯が立ちませんでした。

「よく大学を卒業し、国家資格も取れたな」と、今振り返ると不思議に思うことが多々あります。


小学生レベルの教科書を理解しないまま、小学校を卒業し

中学生レベルの教科書を理解出来ないまま、中学校を卒業し

高校生レベルの教科書も更に理解出来ないまま、高校を卒業し…。


何となく試験はパス出来ているけど、社会で実践で躓きを感じるのは当たり前。


ましてや、己のリスキリングが進まないのは、無意識レベルで使いこなせることが前提条件となる基礎学力が少ないことも要因の一つだっと気が付きました。


(この辺りは、他人事として笑って済まされないような心当たりある人は多い気がします)



◇点と点が繋がり、世界が開けた瞬間


さて、私が読解力の本を読んで、今まで手探りで我流でやってきたことが、実は学術的にも正解だったと知り、妙に納得しています。


先ほどにも出ましたが、基礎基本をやり直すと決めてから、小学生レベルのドリルを繰り返し解いていました。


ある日、急に目の前がパーッと開けるような感覚に襲われたのです。


それまでバラバラに点在していた知識の島に、突然橋がかかったように、すべてが関連付けられるようになったのです。


小学生レベルからやり直すことを揶揄する人もいましたが、私は心からやってよかったと思っています。


義務教育レベルの知識を全般的に理解し、無意識で使いこなせることが、得意な分野を伸ばすよりも、はるかに実践面で結果が出やすいことがはっきりとわかりました。


なぜなら、義務教育レベルの知識を無意識に使いこなせることで、脳のワーキングメモリを効果的に増やすことができるからです。

その結果、思考や試行に脳を使う余裕が生まれ、より深く物事を考えられるようになります。

このため、実践面で結果に繋がる思考が出来る様になりました。



◇私が実践した読解力トレーニング


私が読解力を向上させるために特に効果があったと感じるのは、以下の実践です。

  • 読解ドリル、

  • お絵かきノート

  • 1日30分の音読

    特に1日30分の音読は効果絶大でした。音読をすることで、飛ばし読み(=キーワード読み)がなくなり、書かれている内容を理解しながら読み進めるようになったのです。知らなかった語彙は辞書を引いて覚えるようになり、何より目の前にある文章を理解しようとする姿勢が大きく変わったと実感しています。


読書指南書には「知りたいことが書かれている部分だけを読め」と書かれていることもあります。

しかし、基本的な読解力がない場合は、そもそも知りたい内容を見つけ出すことすら困難です。

時間がかかっても、音読によって文章全体を丁寧に読み込むことが、結果的に遠回りのようで近道だったと考えています



◇読解力は、あなた自身の経験と知識が織りなす「解釈」


ここで読解力に関する面白い経験談を一つ披露したいと思います。


あなたは動画を見ますか?私は時々見ます。


YouTubeには、同じ本の解説動画が、いろんな人が解説しています。

たくさんありますよね。


ある時、ある同じ本についての動画をいくつか見比べて、私自身の感想と比較してみました。

すると、驚くことにそれぞれの動画で「この本のポイントはここだ!」と強調されている点が一致しないのです。


この経験から、私は興味深いなあと実感したことが、2つあります。


ひとつは、読解力とは、単なる文字の羅列を機械的に理解することではなく、その本にどういう心持ちで向き合ったか、そして読者自身の経験や知識に基づいた「解釈」である、ということ。


つまり、同じ文字の羅列を読んでも、その解釈は読んだ人の経験や知識によって、理解の深さが変わってしまうということは、相手を理解することの深さの違いでもあると言えます。


これは、医療従事者として、目の前にいる人と向き合うことにおいて基礎力だと実感しています。



もう一つは、同じものを見聞きしても、注目するところも解釈も自分とは違うという発見が出来ること。


当院のお客様のとのやりとりで、

「おお!そういう視点があったのか!!!」

と気付かされることが多々あります。


立場を入れ替えると、これは(暗黙知で)当たり前になっていても、ここは確かにそう見えるとなることはあります。


余談がながくなりましたが、

『読書とは、自分が実際に経験できることを越えて、自分の枠を広げ乗り越えていくこと』


なので、読解力は自分が経験していない人生を送ってきた目の前の相手を理解しようとすることに繋がっていくと、私は思っています。




◇まとめ

読解力は、自分のわかるを広げていくことあることと同時に、伝えようとしている相手を理解することでもあります。


私が読解力と向き合い、獲得しようと試行錯誤し、その結果が今まで点在していた知識の島に橋を架けることになりました。


私は今後も更によい治療を目指すため、引き続き基礎基本を無意識レベルで使いこなせるよう、日々学びを深めていく所存です。

そして、願わくば傾聴がもうちょっと上手になれればと思っています。


今回のブログ記事を通して、皆さんの「読解力」に対する見方が少しでも変われば幸いです。


おあとがよろしいようで<(_ _)>




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