【読書】スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険
- いけちゃん
- 2月20日
- 読了時間: 4分
どうも。
作業療法士と鍼灸師のダブルライセンスのうれしや鍼灸院吉祥寺の池田です。
先日、興味深い本を読みました。今回は、その本の紹介をします。
◇スマホ時代の哲学書が、現代人の生き方を照らす
どうやら、私は自分の生き方を見つめ直す時を迎えているようです。
自分と対話し、思考する時間が増えました。
一昨年の夏頃からでしょうか。哲学や倫理観、道徳心といったものに触れる機会が増えました。
これらは、今後の私にとって必要なものだと感じています。
哲学と聞くと、小難しい議論を連想しがちです。
しかし私にとっての哲学は、日々の生活で感じる疑問から「真・善・美」を扱う物差しのようなもの。
もちろん、この物差しを手に入れるまでは試行錯誤の連続でした。
様々な人の考え方を参考にしながら、自分とは異なる視点を取り入れていく。
そんな試行錯誤の中で、ようやく腑に落ちる感覚を得たのです。
◇「スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険」との出会い
そんな私の感覚に言語化を与えてくれたのが、
『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』という本でした。
この本では、スマホを手放せないことを前提としつつ、スマホによって失われがちな「孤独」を確保する方法、スマホによって加速されがちな「寂しさ」とうまく付き合う方法が考察されています。
これらのテーマについて、哲学者や社会学者、精神科医など様々な立場の専門家が、アニメ(『チ。』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』)や物語(『燃えよドラゴン』)のあるシーンを題材に、それぞれの視点で解説しています。
一つのテーマに対し、
「この人だったら、こう見て、こう言っていたのだろう」
「このアニメのこのシーンは、〇〇哲学者のこの考えに通じる」
といった具合に多角的な視点が分かりやすく説明されていて、とても読みやすかったです。
◇他者の視点から学び、自己を形成する
この本を読んで、私が最も腑に落ちたのは、
「他人の概念やシステムを使うことで、どんな風景が見えてくるのかを把握すること。共感しなくても、ある考えを理解する能力が向上する」
という部分でした。
先人の知恵を借り、他者の頭の中を借りることで、自分では思いつかない方法で物事を眺めてみる。すると、視野が広がり、視座が変わる。
そして新たな気付きを得る。
この繰り返しこそが「学ぶこと」なのだと、目から鱗が落ちる思いでした。
◇完璧な自己ではなく、コミットする自己を
同時に、本書の
「自分の判断や意見や答えをゴールとして扱わず、それから零れ落ちるものも含めて、それを尊重して、そのすべてを自分を導いていく方向感覚として捉える」
という言葉には、本当に救われた気持ちになりました。
つまり、「完璧な自己を形成する」のではなく、どんな謎に対しても「真摯にコミットする自己を構築すること」が大切なのです。
仕事では、問題解決能力を求められます。
しかし、自分自身はどうなのかと考えると、掴みきれないものが多く、まるでアメーバのようだと感じていました。
「私にはこれだ」と言い切れるものがなくてもいい。
自分という謎に対して「真摯にコミットする自己を構築する」、そのために学び続ける。
この考えが、今の私にはとてもしっくりと腑に落ちたのです。
◇自分と対話するための孤独
なんらかのことを成し遂げるためには、壁があり、邪魔されない状態が必要です。
その中で、心静かに自分自身との対話をするように思考する。
決して思い通りには作れず、育てられない、自分の計らいを越えた謎を繰り返し戯れるうちに、生まれると期待されるもの。
それが趣味で、孤独で、自己形成していくプロセス。
自分だけになれる環境で、思い通りにならない趣味を通して、自分自身との対話を深めるというのは、とても新鮮な視点でした。
まとめ
『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』は、スマホとの付き合い方を見つめ直すだけでなく、現代人の生き方そのものを照らしてくれる一冊だと感じました。
哲学というと難解なイメージがありますが、本書は平易な言葉で解説されているので、哲学初心者の方にもおすすめです。
ぜひ一度手に取ってみてください。
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