はじめまして。
うれしや鍼灸院吉祥寺を営む、作業療法士であり鍼灸師でもある池田です。
私のプロフィールには、二つの国家資格を持つ経歴が記されています。
しかし、なぜ二つの国家資格を持つことになったのか、その裏話はあまり知られていません。
「鍼灸師と作業療法士、どちらが先だったの?」
と聞かれることが多々あります。
「先に作業療法士になり臨床現場にいたけど、いろいろと思うことや出来事があって、30歳手前で鍼灸師になるために東京に移り住んで、作業療法士として昼間は働きながら、夜間学校で鍼灸を学んでいた」
と説明すると、多くの人が必ず驚きと興味を持たれます。
今日は、私の歩みを振り返り、二つの資格を持つ理由について、少しだけお話したいと思います。
〇 やさぐれ新米作業療法士の葛藤
20代前半の私は、正直、「作業療法士に向いていない」と感じていました。
しかし、「やるだけやったら=自分の納得いくところまでやったら」という思いで、医療とは別の人生を歩もうと考えていました。
最初の就職先は、精神科作業療法士として精神病院で勤務しました。
意外に思う人もいるかもしれませんが、そこで対象者と関わる中で、あることに気づきました。
精神科のリハビリテーションには、脳や身体の知識が不可欠だということに。
その後、認知症専門病棟での経験を経て、
「私は脳と身体のことを知らないままではいけない」
という思いを強くしました。
思い切って方向転換し、身体障害領域(いわゆる怪我や病気による障害のリハビリテーション)に移行しました。
しかし、オトナの事情で老人保健施設とのダブルヘッダー勤務となり、病院と在宅生活の調整を経験する中で、病院でのリハビリが実際の生活に繋がっていないことに愕然としました。
さらに、身体に対するリハビリテーションが成書にあるマニュアル通りに行っても改善が見られないことに、悶々としていました。
〇 東洋医学との出会い、そして決断
そんな中、体調を崩し、40度近い熱に苦しみました。勤めていた病院で治療を受けましたが、症状は改善せず…。
藁にもすがる思いで訪れた鍼灸院で、一瞬にして熱が下がったのです。
「東洋医学は、バランスの医療だから」
という鍼灸師の言葉に、目から鱗が落ちました。
一人ひとりに合った寄り添う医療に深く共感し、
「リハビリテーションに東洋医学を加えたら、もっと患者さんの役に立てるのではないか?」
という想いが芽生えました。
しかし、目の前にいる患者さんに何もできない焦燥感は消えず、ついに自分を追い詰めてしまいそうになりました。
そこで、一大決心をして、東京にある鍼灸学校の夜学に通い始めました。
〇 目標があるから頑張れた日々
昼間は在宅医療で作業療法士として働き、夜間は鍼灸学校へ。
夜間学校は週6日、3年間、休みなく努力を続けました。
正直申し上げて、働きながら学ぶことは決して楽ではありませんでした。
30代になると言い訳にはなりますが、20代の頃の体力や知識の吸収力との違いに四苦八苦しました。
しかし、この先にある可能性が私を力強く前に進ませてくれました。
これを3年間やり通したのは、その先にあるもの=リハビリテーションに東洋医学(=鍼灸)を加えたら何か良い変化が起こるのではないか、という期待があったからです。
また、在宅医療において対象者と向き合うことで、
本来は生活の場で使える脳と身体になることが必要なのでは?、
それと同時に
病気や怪我からの回復も大事だけど、それに至らない予防も必要だと気付いたのです。
話をもとに戻しますと、私は精神科領域、身体障害領域(いわゆる怪我や病気による障害)、老年期領域における医療機関、そして在宅医療と、幅広い領域で作業療法士として経験を積んできました。
そのおかげで、今では二つの視点を持つことで、患者さんの心と身体をより深く理解できるようになり、より効果的な治療を提供できるようになりました。
〇 二つの資格を活かした現在
現在は、鍼灸院で作業療法士としての経験も活かして、患者さん一人ひとりの心と身体に寄り添い、最適な治療プランを提案することで、より効果的な改善を目指しています。
二つの国家資格を持つことで得られたものは、かけがえのないものです。
作業療法士としての視点と、鍼灸師としての視点が融合することで、患者さんへの理解が深まり、より包括的なサポートが可能になりました。
これは、まさに私の強みであり、誇りです。
〇プロフィールには載らない、私の裏話。
これが、作業療法士と鍼灸師のダブルライセンス=二つの国家資格をもつに至った理由です。
二つの国家資格取得までの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
葛藤、迷い、そして苦難。
しかし、その全てが今の私を支え、患者さん一人ひとりに寄り添う医療を提供する力となっています。
このブログ記事が、私の歩みを通して、何かしらの共感や勇気を与えることができれば幸いです。
これからも、患者さん一人ひとりに寄り添い、心と身体の健康をサポートできるよう、努力を続けていきたいと思います。
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